「ビッカース硬度」で見る鍛造・鋳造の違い

指輪の製造方法には、大きくわけて鍛造と鋳造の2つがあります。指輪を選ぶときには、それぞれの特徴を考慮した上で検討すると、思い通りのリングを手にすることができると思います。製造方法の違いについては、「結婚指輪の製法の違い ・鍛造・鋳造について」の記事でご確認ください。

鍛造、鋳造の違いの中で、大きなウエイトを占めるのが「硬度」です。結婚指輪は長年にわたって使い続けるものなので、なるべくキズの付きにくいもの選びたいもの。しかし、鍛造品と鋳造品では、実際のところどれほどの違いがあるのでしょうか。硬さを表す単位である「ビッカース (Vickers hardness)」を用いて、詳しく見ていきましょう。

1. ビッカース硬度とは

500円玉、100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉の素材と硬さ

硬さを表す尺度のひとつで、1925年に開発された試験法を応用します。地球上で一番硬いといわれるダイヤモンド製の四角錐を被試験物に対して押し込み、そのときにできたくぼみの大小で測定します。

ビッカース硬度はHVで表され、その数値が高いほど、硬度の高い素材といえます。 たとえば、アルミニウム製の1円玉はHV45、銅・亜鉛の合金である5円玉はHV150、銅が95%を占める10円玉はHV130、銅・ニッケル合金の50円玉はHV160、といった具合です。

2. 鍛造品と鋳造品のビッカース硬度は?

プラチナ、イエローゴールド、ホワイトゴールド、レッドゴールド。素材と製法で硬さは変化する

指輪の素材として使われる代表的なものは、プラチナ950や18金ですね。egfの商品説明の「素材:」の項目に「750white」「750red」といった記載がありますが、これは「18金ホワイト」「18金レッド」と同じ意味です。18金 (K18) とはカラットという単位での表記であり、750whiteとは金純度が1000分の750であることを表します。

さて、プラチナやゴールドのビッカース硬度は、以下のようになります。

プラチナ900/950  HV80−100
K18 YG/WG/PG  HV120−150

プラチナはゴールドより硬いというイメージを持っている人が多いと聞きますが、実はゴールドのほうが硬い素材であることがわかります。

そうなると鋳造製法でつくられた指輪の硬度は、素材にもよりますがHV80−150の間ということになります。さらに硬度を増したハードプラチナという素材もありますが、こちらは18金とほぼ同程度のビッカース硬度となります。

一方、鍛造製法の指輪の硬度はどれくらいなのでしょうか。

金属加工の工程で多くの時間を費やし、金属密度が非常に高くなっていることから、鍛造プラチナ、鍛造ゴールドのビッカース硬度はHV180 - 220にまで達します。

ステンレス製のナイフやフォークの硬度がHV200程度ですので、egfの指輪はジュエリーとしてもっとも高い硬度といえるでしょう。

硬度の点からいえば、鍛造製法の指輪は多少の衝撃でもキズがつきにくく、デイリーユースには最も適していると言えますね。肌身はなさず着けていたい結婚指輪が、長くその美しさを保てるのも鍛造製法であればこそ、というわけです。

egfでは、バラエティ豊かなデザインに加え、鍛造製法の魅力を存分に堪能いただけるコレクションを各種取りそろえております。ぜひ、お近くのジュエリー専門店で、お手に取ってご覧ください。